筑波大学の町⽥⿓⼀郎客員研究員らの研究グループは、ハサミムシ⽬は多新翅(たしんし)類の⼀群であり、それらの腹端のハサミや卵などへの⼿厚い世話といった特徴は、進化の過程で⽬内で並⾏的に現れてきたと発見した。
ハサミムシ⽬は⼈の⽣活圏にも多く⽣息しており、腹端に尾鋏(びきょう)と呼ばれるハサミを持つ。研究では、ハサミムシ⽬の所属ならびにハサミムシ⽬内の系統進化を明らかにすることを⽬的に、8科13種の発⽣過程ならびに⽣殖⾏動の⽐較検討をした。
その結果、研究グループが先行研究で明らかにしていた多新翅類の特徴をハサミムシが持つことが明らかになった。これにより最新の分⼦系統解析が⽰唆する、従来の理解と⼤きく異なった⽬内の系統関係の妥当性が⽰されたという。
また、ハサミムシ⽬の⼤きな特徴である「腹端のハサミ」、ハサミムシ⽬の重要な⾏動様式であるとされてきた「⺟親の卵や若齢幼⾍への⼿厚い世話」は、⽬内で並⾏的に現れてきたことが判明している。
研究グループは「ハサミムシ⽬の中には、今回の研究対象に含まれなかったグループや系統性が明確でないグループが残されている」とし「今後、このようなグループの検討も⾏い、ハサミムシ⽬、ひいては多新翅類、昆⾍類の系統学的な理解を進めていく」と意気込んだ。