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「シグネチャ」活用して大気構造を推定 JAMSTECが方法開発 効率的に表現する機械学習モデル 

海洋研究開発機構(JAMSTEC)の藤田実季子グループリーダーらは、大気構造を数値化できる「シグネチャ」を用いた新たな大気鉛直プロファイルの推定法を開発した。これまで困難であった時間変化の激しい降雨現象前後の大気の把握に役立ちそうだ。

研究では、大気の鉛直構造を示すシグネチャを生成する機械学習モデルの構築に取り組んだ。AI学習では地上観測データや気象衛星「ひまわり」などの既存の観測網から入手可能なデータのみで構成した。

研究グループは2021年8月を対象に精度評価を実施。その結果、シグネチャを用いた機械学習モデルは、高精度に気温と水蒸気の鉛直分布を推定できたのに対し、使わずに通常の観測データで構築した機械学習モデルは誤差が大きい結果となっている。

研究では、シグネチャを機械学習に用いることで大気構造を高精度に推定可能であることが示された。研究グループは「既存の観測網から入手可能なデータを元に大気の鉛直構造を推定することができ、特別な観測をせずとも熱力学な大気構造の推定が可能となる」としている。