名古屋市立大学と富士フイルムの研究チームは、MRI画像から脳脊髄液腔の各領域を抽出するAI技術を共同で開発した。治療で改善される認知症といわれる「ハキム病」の診断制度向上が期待され、富士フイルムはこの技術を搭載した製品の市場導入を目指すとしている。
ハキム病は脳に水(脳脊髄液)が溜まって脳を圧迫し、歩行障害や認知障害、切迫性尿などの症状があらわれる病気。手術で症状を改善できるが、症状が進行してから治療を受けても、自立した生活を取り戻すことは難しいため早期発見が重要とされる。一方でハキム病は、脳委縮との判別が難しく発見が遅れやすいという課題がある。
両者はそれぞれを分別する画像「くも膜下腔の不均衡分布(DESH)」に関係する脳脊髄液腔の各領域(高位円蓋部・正中のくも膜下腔、シルビウス裂・脳底槽、脳室)を抽出するAI技術を開発した。
研究チームは「脳萎縮とハキム病を判別するのに重要な画像所見であるDESHの判定に大きく寄与し、ハキム病の診断精度向上につながる」と講評している。