名古屋大学の有田隆也教授らの研究グループは、大規模言語モデル(LLM)を用いた対話AIの性格特性を進化させることに成功した。
研究ではLLM が任意の性格を持った人のように振る舞うことが得意な性質を利用して、さまざまな性格を持ったAIエージェントが集団をつくって生存競争を繰り広げたら、世代が進むにつれどのような社会ができあがるかを検討した。
実験では利己的な性格を持った集団から協力的な性格を持った集団へ進化していく様子が観察された。一方、協力的すぎる集団は再び利己的なエージェントに取って代わられるなど、エージェント社会にも人間社会と同様に動的な側面があることが判明している。
有田教授らは「この成果は、LLMを進化モデルに組み込み詳細な言語表現を用いることで人間の性格特性の進化的基盤について検討できることを示す」と指摘。「遠くないうちに来るだろうAI社会やAIと人間が混在する社会の設計指針につながる知見をもたらす」と評価している。