北海道大学とデンマークのオーフス大学の研究グループは、北極圏で最も多く生息する海鳥「ヒメウミスズメ」が発する全ての音が日中に最も弱くなり深夜の時間帯に最大になると発見した。鳥類の生活リズムである「明け方に活発に鳴く」傾向と異なり、とても興味深い発見だという。
研究は最大の繁殖地であるグリーンランドのシオラパルクで実施。ヒメウミスズメの繁殖地にマイクを設置し、すべての音を連続的に録音した。そのデータからヒメウミスズメの鳴き声や羽音を抽出し、音の強弱やパターンを解析することで、行動を解明できるのではないかと考えた。
データを解析した結果、午後2~4時に最も弱くなり、午前2時30分~3時30分に最大となるサイクルが確認された。これはヒナへの給餌行動パターンや餌生物であるプランクトンのバイオマス周期と一致している。
研究グループは「録音されたヒメウミスズメの音の周期は、彼らが深夜から明け方にかけて繁殖地に集まり、ヒナへの給餌を行うなど盛んに活動するという1日の行動パターンをよく反映している」と分析している。
さらに、「彼らの生態をより深く理解するため、北極域における急速な環境変化が彼らに与える影響を調査するためにも、研究チームは今後も音響モニタリング手法を用いたヒメウミスズメの行動研究を進める」と力を込めている。