岡山大学と飯塚病院(福岡県飯塚市)の研究グループは、国民が最期の時を過ごす場所が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下において変化していることを明らかにした。人生の最終段階における、より良い医療を追及していく足掛かりになることが期待されている。
COVID-19の流行は世界各国の医療サービスに影響を与えたが、その影響が小さかった日本において終末期医療にどういった影響を与えたかこれまで確認されていなかった。
研究グループが分析を行ったところ、65歳以上では2019年以降の在宅死の年間変化率は以前と比較して、12.3ポイント増えて、病院死の割合は4.0ポイント減だった。病院死から在宅死へのシフトが同年から加速していたという。
同病院の柴田真志医師は「パンデミックの陰で、COVID-19以外の終末期患者の過ごす場所にも多大な変化が生じていたことが明らかになった」とコメント。「次なる新興感染症に備えて、この変化が好ましいものであったのか、また在宅医療や緩和ケアの質はどうだったのか、研究を進めたい」としている。