京都大学の研究グループは国民の病名などのデータが格納されているレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を使って、斜視の患者数を調べて有病率を算出した。1国の斜視の有病率や年間発生率に関する全国調査を行うのは世界初。日本の全体の有病率は2.154%、1年の発生数は10万人あたり321人だった。
右と左目がそれぞれ違う場所に向かう斜視に関する疫学調査は、国規模ではこれまでされてこなかったため全体像がつかめていなかった。斜視は視線のずれの向きによって外斜視、内斜視、上下回旋斜視に分けられる。
調べによると各病型の割合は、外斜視67.3%、内斜視23.9%、上下回旋斜視6.7%であった。上下回旋斜視については、19歳以下では1.4%だったが以上では10.2%と年齢による違いが顕著に見られた。
研究グループはNDBから2009年4月1日~20年9月30日までの斜視の人数を調べ、日本の全人口に対する割合として有病率を調べた。
京大の宮田学講師は「現時点では根本的解決法は手術しかありませんが、京都大学眼科学教室が得意としていますゲノム解析やイメージング研究などを駆使して、新たな方法を模索していきたい」としている。