東京医科歯科大学はNTTデータグループとの共同研究で、CT画像から「がんの骨転移」を自動で検出可能な新たなAIモデルを開発することに成功した。医師の画像診断制度の向上につながる可能性もある。
研究では、2016~22年にかけて東京医科歯科大学病院において撮影された骨転移患者のCT画像データを利用。骨転移した255人のがん患者と転移していない192人のがん患者から得られたCT画像データがAIモデルの学習に使用された。
開発したAIモデルを評価したところ、これまでに他施設で開発されたAIモデルと遜色ない結果が得られた。
また、開発したAIモデルの医療現場での有用性を評価するために、12人の読影医による読影試験を実施し、人とAIモデルの読影精度を比較しました。その結果、開発したAIモデルの感度は、専門医に匹敵し、若手医師よりも高いことが明らかになった。
さらに、若手にはAIモデルの予測結果を参照しながら2度目の読影試験を実施してもらったところ、AIモデルを用いることで読影精度が上昇した。
研究グループは「開発したAIモデルの医療現場への実装が実現すれば、医師の画像診断精度が向上し、骨転移の見逃しが減少する」と指摘。「これまで診断や治療開始が遅れてしまうことが少なくなかった『がんの骨転移』を早期に発見し、早期から適切な治療を開始できるようになる」と評価している。