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偏西風と海洋の連動で異常気象の振れ幅を増大 九大研究Gが確認 異常天候の予測精度を向上へ

九州⼤学などの研究グループは、北半球冬季に何万キロと離れた気象の互いの相関による変動(テレコネクションパターン)が大きくなっていることを明らかにした。将来の気候変動予測の不確実性の低減につながる可能性がある。

エルニーニョ現象などの熱帯海洋の変動がテレコネクションパターンの形成や持続に影響を与えることが知られていたが、中⾼緯度海洋の役割は未解明であった。研究グループは4100年分のシミュレーションで得られた統計値の差によって、テレコネクションパターンによる大気海洋結合の影響を評価した。

その結果、北半球冬季に頻繁に現れる複数の偏⻄⾵の蛇⾏や強化の振れ幅を選択的に増幅していることが分かった。太平洋から北米域の主要変動「太平洋・北米パターン」、北⼤⻄洋域の変動「北⼤⻄洋振動」、北極域からユーラシア⼤陸上で卓越する「北極暖気・中緯度寒気パターン」が増幅していたという。

研究グループは解析の結果、テレコネクションパターンは中⾼緯度海洋との熱のやりとりを通して熱的な減衰を受けるが、⼤気海洋結合過程を忠実に表現する⽅が、この熱減衰が弱くなることが分かったとしている。

研究グループは「テレコネクションパターンの表現の改善を通して、季節予報などの⻑期予報による異常天候予測の精度向上につながる」と説明している。