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遺伝子翻訳を特異的に抑制する新手法 理研などが「クリスパー・デルタ」を開発

理化学研究所と東京大学、愛知学院大学の研究グループは、目的の遺伝子の翻訳を極めて特異的に抑制する新手法「クリスパー・デルタ(CRISPRδ)」を開発した。原因遺伝子の機能抑制を通じた疾患治療など、さまざまな応用につながる可能性がある。

遺伝子の機能を理解するためには、何らかの手法でその遺伝子の発現量を抑制し、それによる影響を調べる必要がある。だが、既存の手法では目的の遺伝子以外も抑え込んでしまうことがあり、課題となっていた。

新たな方法では、たんぱく質「dCas13」を標的メッセンジャーRNA(mRNA)に結合させ、その翻訳を非常に特異的に抑制する新手法 CRISPRδを開発した。これはウイルスや神経変性疾患と関連する特殊な翻訳様式も制限できるという。

研究グループは「ウイルス感染や神経変性疾患に対して、より特異性が高く副作用の低い治療を提供できる可能性がある」と評している。