東京農工大学の梅澤泰史教授らの研究グループは、植物が乾燥ストレスを受けた際に、植物ホルモンの1つ「アブシジン酸(ABA)」が葉を老化させるメカニズムの一端を解明した。乾燥時でも葉を緑に保つことが可能な植物などへの応用につながりそうだ。
研究グループはたんぱく質「MBD10」を過剰に発現させたシロイヌナズナを作成。野生型に比べて葉の老化が極端に早まることを発見した。このことから、MBD10は葉の老いに関係するのでないかと推測した。
次にMBD10遺伝子を欠損させたmbd10変異体を調べてみると、老化が抑制されたことからMBD10が、ABA誘導性の葉の老けを促進する働きを持つことを突き止めた。
また、MBDをリン酸化させることが葉の老化促進に必要であること、たんぱく質リン酸化酵素「MAPキナーゼ」がMBD10をリン酸化することが分かっている。
梅澤教授らは「今回の発見は、乾燥ストレスと植物の生長制御に新しい知見をもたらすものであり、将来的には農業生産の持続可能性の向上などにつながる」としている。