自治医科大学と東北大学、九州大学の研究グループは、コレステロール合成経路の最終段階を担う酵素「DHCR7」の阻害がフェロトーシス(細胞死)を強力に抑制する作用があることを新たに発見した。肝疾患に対する新たな治療法開発につながる可能性がある。
研究チームは肝臓におけるフェロトーシスの制御因子を新たに見つけるため、ヒト肝がん細胞株を用いて解析を実施した。フェロトーシスを促すセレクションを細胞に行った結果、生存した細胞の大部分がDHCR7遺伝子を欠損していた。
また、DHCR7を阻害することによるフェロトーシスからの細胞保護作用はコレステロール合成が活発な細胞で生じ、肝細胞において特徴的な作用であることが分かっている。
研究チームは「非アルコール性脂肪肝炎など、他の慢性疾患への有効性についてもさらなる展開が期待される」と講評している。