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ドラマ原作者の死去を受け 芸能従事者協会が「ハラスメントと過重労働」で声明

日ごろから芸術・芸能従事者の自殺対策に努めている一般社団法人日本芸能従事者協会は、ドラマ原作者が死去したことを受け、「ハラスメントと過重労働の現状に関するステートメント(声明)」を、協会ホームページで公開した。同協会では、「あってはならないことが起きてしまった」としたうえで、今後一層緊張感を強め、あらゆる場面でのハラスメントと過重労働を僕面するため、芸術・芸能従事者のディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現に向けた取り組みを、さらにまい進することとしている。同協会の声明は以下のとおり。

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今般、芸能や芸術に携わる⽅々の相炊ぐ計報に接し、ご遺族及び関係者の皆様へ⼼より深く哀悼の意を表します。

私たちは令和4年9⽉に「ハラスメント及び現況の諸問題に関するステートメント」を、令和5年1⽉にも「芸能従事者の就業中の安全衛⽣の徹底について」を発し、継続的に産業医や臨床⼼理 ⼟及び保健師の指導を受けながら、メンタルケア相談窓⼝「芸能従事者こころの1191を常設し、アンケー ト調査で芸能従事者の過重労働や安全衛⽣の状況について実態把握と改善に⼀層の努⼒をして参りました。

芸術家・芸能実演家の⽴場が弱く⽣活基盤の脂弱な実態は、令和5年10⽉に閣議決定された厚⽣労働省の「過労死等に関する実態把握のための労働・社会⾯の調査研究(芸術・芸能実演家調査)」(通称:過労死⽩書)で明らかになり、仕事の幸福度・ウェルビーングの類を⾒ない⾼さに対してアンバ ランスな低収⼊や不安・うつ状態の⾼さから、喫緊の改善を要すると警鐘を鳴らしていたところです。

⽇本芸能従事者協会は、医療や法曹など多くの専⾨家にご協⼒をいただきながら抜本的な改善に向けて邁進し、⾃殺を含むハラスメントが原因の精神疾患に適⽤できる特別加⼊労災⽤保険のご提供や、安全衛⽣ 及びメンタルヘルス研修を定期開催しております。

さらに独⾃の調査をもとに政府への提⾔を継続し、⽂化庁はハラスメント防⽌や取引適正化などの事項を 含めた芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドラインを発出し、厚⽣労働省は就業上の事故防⽌や健康増進に係る個⼈事業者等の安全衛⽣対策のあり⽅に関する報告書を発出しました。さらに今年秋ごろには内閣府・公正取引委員会・厚⽣労働省が特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(通称:フリーランス新法)を施⾏します。その⽬前に起きた取り返しのつかない出来事の数々は痛恨で、忸児たる思いを強めております。

今後、⼀層緊張感を強め、あらゆる場⾯でのハラスメントと過重労働を撲滅するために、芸術・芸能従事 者のディーセントワークの実現に向けての取り組みにさらに邁進することを誓います。