㈱時事通信社が㈱ジャパンタ イムズなど3社と共に昨年12月27日に設立した一般社団法人日本伝統文化検定協会は、今年秋に『日本伝統文化検定(伝検)』をスタートさせる。
日本で古くから育まれてきた工芸品などの伝統文化・伝統産業は今、生活様式の変化に伴う需 要の減退や後継者の不足により、存続すら危ぶまれるほどの危機的な状況に置かれている。
国や自治体も長年にわたり、補助金などによる産地振興や人材確保に取り組んできたが、作り手・担い手への支援だけで厳しい現状を打開することは難しいと言わざるを得ないの現状で、最大の問題は、伝統文化・伝統産業の魅力や価値が十分に知られていないという点。
『伝検』はこうした現状を踏まえて設けたもの。検定を通じて国内外の消費者に主体的な学びの機会を提供するとともに、理解者、支援者となる合格者を増やすことで、伝統文化・伝統産業の継承・発展を図り、地域の活性化につなげることを狙いとしている。海外への発信にも力を入れて外国人受験者を呼び込み、対日理解の促進にも貢献する考え。
受験区分は3級(サポーター)、2級(マスター)、1級(アンバサダー)の3クラスを予定。現在、公式テキストの刊行や講座の開設に向けた準備を進めている。協会は、法人の運営に当たる理事会とは別に、伝検の主宰・監修者として会長、副会長の役職を設けている。
1月22日に開かれた理事会で、会長には宮中歌会始の講師を務める近衞忠大(このえ・ただひろ)氏、副会長には多摩美術大学教授で工芸評論家・工芸史家の外舘和子(とだて・かずこ)氏と、文筆家でアートプロデューサーの白洲信哉(しらす・しんや)氏が選任され、同日付で就任した。
■近衞忠大会長コメント「世界から注目される日本の伝統文化を守り、未来につなげていくためには、まず何よりも、その価値を多くの人々に知ってもらうことが大切」