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月経随伴症状把握へ6割が保健調査票に記入欄を設置、うち4割は症状がある生徒への対策に至らず バイエル薬品が高校生調査

バイエル薬品㈱(本社:大阪市)が行った全国の高等学校の養護教諭を対象としたアンケート調査で、62%が生徒の健康診断を実施する際の保健調査票に、月経に伴う諸症状を把握するための記入欄を設け、うち58%は症状がある生徒への対策として健康相談や保健指導、婦人科受診などを行っていたが、残り42%は対策を行えていないことがわかった。

この調査結果を踏まえバイエル薬品は、月経随伴症状がある生徒の把握、健康相談や保健指導の実施、また必要に応じて婦人科を受診することの重要性を示した養護教諭向けの資料を制作し、配布することとしている。

文部科学省は、政府の「女性活躍・男女共同参画の重点方針2021」を受けて、2021年12月に、児童生徒の月経随伴症状の早期発見と保健指導の実施を全国の教育委員会や学校などへ要請する通達を発出した。毎年度定期の健康診断を実施する際の保健調査票等に、女子の月経随伴症状を含む月経に伴う諸症状について記入する欄を設定。保護者にも記入について注意を促すなどにより、所見を有する児童生徒等を的確に把握し、健康相談や保健指導を実施するとともに、必要に応じて産婦人科医への相談や治療につなげることを求めている。

バイエル薬品はこの通達後の実態を明らかにするため、今年5月に全国の高校4985校を対象に健康診断の保健調査票に関するWEBアンケートを実施。405校から回答を得た。

集計の結果、通達約1年半後の時点で本通達を72%が把握していたが、28%は把握していないことが判明した。62%が保健調査票へ月経に伴う諸症状の記入欄を設けており、このうち症状がある生徒への対策事例があるのは58%。事例がない42%をやや上回った。

対策の内訳は、「養護教諭による生徒に対する保健指導の実施」90%、「養護教諭と保護者間での相談・対応検討」25%、「学校健診後、学校医による健康相談や診療」20%、「学校健診後の生徒の婦人科受診」18%(複数回答)など。

一方、月経に伴う諸症状の記入欄を設けていない学校(38%)に理由を尋ねると、「必要性を認識しているが、どのような項目を設置すればよいかわからない」が53%と過半数を占めた。

また、記入欄を設けながらも、症状がある生徒への対策ができていない学校(42%)からは、「指導時間などの確保が難しい」56%、「学校から保護者への相談が難しくアクションが取れない」42%、「学校側の関心が低く取り組みに至っていない」40%(同)などが理由に挙がった。

アンケートでは、女子生徒からの健康問題に関する相談は多い順に、「月経痛など月経に伴う体調不良に関すること」96%、「月経不順・無月経に関すること」71%、「思春期のカラダや心の悩み」53%(同)となり月経に関する相談ニーズは特に高く、その支援策ともなる本通達を実践する上での課題も浮かび上がった。

月経随伴症状は生徒の学校生活に支障を来たす場合があり、また、放置することにより生徒の健康と将来に影響を及ぼす可能性がある。

■資料「生徒と話そう月経のこと」を制作

バイエル薬品は養護教諭を支援するため、資料「生徒と話そう月経のこと~生徒・養護教諭へのアンケート調査から見えてきたこと~」を制作した。資料には、①月経随伴症状がもたらす学生生活への影響②学校健診を機会とした生徒の月経随伴症状の把握とその対策③月経チェックシート──を紹介しており、同社では活用を促している。