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和漢朗詠集(唐紙)などを国宝に 重要文化財を42件 文化審

文化庁

文化庁の文化審議会は21日、平安時代の貴族が読んだ漢詩文をまとめた「和漢朗詠集(唐紙)」など4件を美術工芸品の国宝に、油絵の地位確立と教育に貢献した松岡寿の代表作「ベルサリエーレの歩哨」など42件を重要文化財に指定した。重要文化財は9998件、国宝が912件となる。

和漢朗詠集は平安時代の歌人・藤原公任(ふじわらのきんとう)による詩文集。上下2帖(じょう)からなり、1878年に皇室に献上された。端正な筆跡は平安古筆の中でも高く評価され、文化、国文学、書道史上で貴重なものとされる。和漢朗詠集が書写された鎌倉時代の「和漢朗詠集切(雲紙本)」も昨年度に国宝指定された。

また、古事記の編さん者である太安萬侶(おおのやすまろ)の木炭墓に納められていた「太安萬侶銅板墓誌」も選ばれた。墓誌には安萬侶の居住地や氏名、没年月日などが記されている。続日本紀に書かれた安萬侶の筆跡を裏付けているという。古代史を重大な研究資料である古事記の著作者の存在を示す1級資料とされた。

ほかにも、国宝に飛鳥と奈良時代の仮面舞踏に用いられた「木造伎楽面」「乾漆伎楽面」が指定。重要文化財には、平安前期の密教彫像「木造如意輪観音坐像」や江戸時代の宇治橋と川の景色を金蒔絵(まきえ)で表した「宇治川蛍蒔絵料紙硯箱」などが選ばれている。