日本学術会議の元会長6人は18日、会員選考の自主性を損なうとされる「日本学術会議法案」の撤回を石破茂首相に求める声明を日本記者クラブで発表した。登壇した東京大学卓越教授の梶田隆章氏ら元会長4人は「信頼できる科学者アカデミーとして認知されない組織に変質することを強く懸念せざるをえない」と訴えている。
新法による法人化案では、会員の選考について意見を述べられる「選考助言委員会」と運営について指摘できる「運営助言委員会」を新設する。これらの委員らは学術会議の総会が任命する役員会が選定する一方で、政府が指名する監事を置く。さらに政府任命の有識者らからなる「評価委員会」は、学術会議が適正な自己評価をしているかを判断する。
東大名誉教授の大西隆氏は「政府が選任する評価委員会及び監事が活動全般に干渉すれば、独立性が失われ、国際評価が損なわれて国益に反する」と主張。同大同教授の広渡清吾氏は「評価委員会は日本学術会議を政府が上から管理する委員会になっており、世界のアカデミーに申し開きができないものになるのでないか」と懸念を示した。
梶田氏は学術会議にも「学術や学問が国を形作る要素の1つであることを考えていただき、長期的に見てどういう貢献をしていくべきなのかを考え、法案にどう思うかを明確にしてほしい」と指摘している。