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研究機関で働く有期契約者の「10年特例」 文科省がキャリアパス支援などを議論

文科省の「研究者・教員等の流動性・安定性に関するワーキング・グループ」

文部科学省は有期労働契約を締結した研究者などが無期転換を申し込む権利を得られるまでの期間を10年と定めた「10年特例」について議論を深めている。28日にその課題などを検討する小委員会が開かれ、小さな機関のキャリア支援の難しさや座学と雇用の両立推進などに関する指摘がでていた。

通常、労働者は有期労働契約が5年を超えた場合には、雇用側に無期転換を申し込むことができる。だが、大学や研究開発法人の研究者や技術者、教員などはその期間を10年とする特例がある。

文科省が昨年3月に大学や研究開発法人などに行ったアンケートによると、有期労働契約者は全体(36万4588人)の中で48.8%。そのうち特例対象者は15.9%であった。特例前に、機関が契約を終了してしまう場合もあり、理由として「定期的な人材入れ替え」「労働者が従事するプロジェクトの終了」「一定期間の雇用契約で足りたから」などといった要因があげられた。

小委員会では、10年特例と研究者などの研究環境整備のあり方の周知やキャリアパス支援を促進するための方策を議論。「お金がある大学はキャリアサポートをしやすいが、小さな組織は難しい」「安心できないと研究に集中できない」「デュアル雇用を地方大学で進めたい」などといった意見がでている。