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がん組織近くで電子線レーザー発生 QST研究Gが実証 新たな放射線がん治療の実現に貢献

量子科学技術研究開発機構(QST)などの研究グループは、細孔が多数開いたガラス板(マイクロチャンネルプレート)へのレーザー光照射により、放射線の一種である高エネルギー電子線が発生することを実証した。米国時間28日付でオープンアクセス誌に掲載されている。

放射線によるがん治療は、体に負担となる外科的手術を伴わないため、QOLの高い治療として注目されている。だが、放射線の被ばくは避けられず、運用コストの低減などといった課題もある。

実験ではパルスレーザーをマイクロチャンネルプレートに照射すれば、がん治療が可能な数百キロ電子ボルトの高エネルギー電子線が発生することを確認。光ファイバーの先端にマイクロチャンネルプレートを固定した装置を作製し、内視鏡と組み合わせて利用すればがんに近い場所で電子線を発生させて放射線治療できることとなる。

QSTは「今後も電子線発生に適したレーザー条件の探索を進めることで、内視鏡型がん治療装置用だけではなく産業応用に適した小型の新たな電子線発生装置の研究開発を進めていく」としている。