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新技術「スマート飽差制御」でいちご「さぬき姫」の収穫量が18.5%向上(第18909号)

写真:細霧装置によるハウス内の加湿

 カサイホールディングス(株)と農研機構は、令和5年6月より香川県小豆島の「夕陽ヶ丘いちご園(オリビアン小豆島夕陽ヶ丘ホテル内)」で実施している「スマート飽差制御」の実証試験で、いちごの収穫量が18.5%向上するとの成果を得た。

 「飽差」とは、空気の乾燥度合いを示す指標で、大きいほど乾燥していることを示す。ハウス内の空気が乾燥すると、葉からの蒸散量が増え、根からの吸水量が追いつかず、植物体内の水分が不足する。この水分不足の状態(水ストレスが増大した状態)になると、植物体は体外への水の流出を抑えるために気孔を閉鎖する。気孔が閉鎖されると、植物体内への二酸化炭素の取り込みが制限され、光合成の働きが低下する。光合成が低下すると、植物の成長が抑制されるため、最終的に収量が減少する。

 「スマート飽差制御」は、農研機構が開発した、いちごの収量を増やす新技術。ハウス内の飽差が増大して、いちごに強い水ストレスがかかった際に、細かなミスト(霧)を自動で噴霧することで湿度を調整し、いちごの成長に最適な環境を自動で保つ。炭酸ガス施用を前提とした光合成促進技術であり、生産人口の減少や担い手不足といった農業が抱える課題に対する解決策の一つとして期待されている。また、自動でハウス内環境を最適化できるため、栽培経験が少ない新規就農者でも、手間をかけずに安定して高収益な営農が可能になることが期待できる。

 カサイホールディングスと農研機構では、今後も実証試験を継続していく。また、農研機構では、得られた試験結果をもとに技術の改良を進めるとともに、「スマート飽差制御」技術の普及を目指すとしている。

収穫期を迎えたいちご「さぬき姫」