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介護事故の情報を一元的に収集・分析・還元 厚労省 全国データベースを27年度にも整備へ(第18900号)

厚生労働省は、介護現場の転倒や転落、誤薬といった事故の情報を一元的に収集・分析する「事故情報等統計データベース(仮称)」を整備する方針を固めた。

今年末に取りまとめる審議会(社会保障審議会・介護保険部会)の報告書に盛り込む。2027年度からの運用開始を目指す。

事故の全国的な傾向分析を行い、現場へのフィードバックを通じて再発防止につなげるPDCAサイクルを確立する狙い。個別事案の責任の追及には使わない。

現状、介護事業所・施設から市町村への事故報告は義務付けられているものの、そこから都道府県や国への報告は任意。情報の一元的な集約は行われていない。

自治体によって事故報告の範囲や方法、使用する様式などにばらつきがあり、厚労省の標準様式を使用している市町村も6割強にとどまる。死亡事故や治療を要する事故の報告基準も地域差が大きく、国レベルでの統一的な分析が困難な状況にある。

こうした課題の解消を図る新たなデータベースは、既存の「介護サービス情報公表システム」の基盤を活用して構築される計画。これが稼働した後は、市町村が報告の受け付け、都道府県が広域的な支援、国が情報の分析・フィードバックを担う形で、行政が役割を分担する。

厚労省はあわせて、全国的な事故情報の収集・分析に適した形へ報告様式を最適化する考え。報告すべき事故の対象範囲については、関係者による専門的な議論の場を設けて詳細を詰める。