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大学史資料館企画展示室の照明をLEDスポットライトへ 中央大がクラファン始動(第18898号)

中央大学は1885年(明治18年)の創立から、今年7月8日に創立140周年を迎えた。140周年の節目を機に、同大の歴史を未来へ力強く繋ぐため、「大学史資料館」の企画展示室照明改修に向け たクラウドファンディングを開始した。期間は12月26日までで、目標額は500万円。展示室、資料館(大学史資料館)の企画展示室をLEDスポットライト照明へ刷新するもの。照明什器購入費、電気工事費・現場施工費・照明展示デザイン費などで使用する。

■二つの資料館の開館

中央大では昨年4月、「大学史資料館」と「法と正義の資料館」が誕生した。開館に先立ち、同大では資料収集を地道に継続して実施。「大学史資料館」では、創立者の一人、増島六一郎初代校長の法服や、イギリス留学時のウィッグといった貴重な歴史資料を順次公開している(現在「創立140周年企画展示」開催中)。

全国的にも珍しい「法と正義の資料館」は、寄付者の〝志の高い人材の育成を〟との思いを受け、法や正義の実現のために、身を挺して闘ってきた人物の業績について、テーマを定めた企画展を年1回開催している。また、展示を実際に見て、ディスカッションをしながら法と正義について学ぶ「高校生プログラム」を、附属高校生や近隣の高校生に向けて提供している。

■二つの資料館開設時の背景と課題

二つの資料館は、2023年の中央大法学部の茗荷谷キャンパス移転を契機に、多摩キャンパスの利活用を検討する中で誕生した。このため、建物は、既存の建物「炎の塔」を一部効率的にリノベー ションして使っている。館内の照明設備は、蛍光灯を使用している。資料には影響の少ない紫外線防止効果のあるものを使用しているが、〝照明を工夫して展示品を魅力的に演出〟することが難しい状況。

また、蛍光灯は、2023年11月の水銀に関する水俣条約第5回締約国会議で、全ての一般照明用蛍光ランプの製造・輸出入の廃止が2027年末と決定されたため、照明設備の更新は喫緊の課題でもある。

最大の課題は、貴重な資料の魅力が十分に来館者に伝わっていない点。蛍光灯の下では、創立者の法服やウィッグなどが平坦に見えてしまい、歴史の重みや緻密な刺繍の魅力を伝えることが困難となっている。

同大では、もし、この展示物にふさわしいスポットライト照明が実現すれば、まるで創立者がそこにいるかのような息吹を感じたり、まるで創立者とともにイギリスのミドルテンプルを訪れているかのように思いを巡らせたり、訪れた学生や学員の心に、大学の原点にある〝建学の精神〟を力強く灯すことができるはず―としている。