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性転換したチョウザメから採卵 遺伝的オス理論を初証明 オスのキャビア生産可能に

近畿大学

近畿大学の稻野俊直(いねの・としなお)准教授らの研究グループは、メスに性転換したシベリアチョウザメの産卵とふ化に成功した。稚魚が遺伝的オスになる理論を世界で初めて証明している。

シベリアチョウザメは、キャビア生産のために養殖がおこなわれている種。ロシアチョウザメとオオチョウザメよりも卵が小さいものの、生産サイクルが短いことから多数生産されている。

グループは17年にドイツから受精卵を輸入。ふ化したシベリアチョウザメに女性ホルモンを投与して19年にメス化に成功したという。女性ホルモンを含まない飼料を与え続け、卵巣を確認し続けたところ、7歳2カ月で卵径3.1ミリの卵を抱えていることが認められた。

採卵して授精させたところ、全個体がオスであると判明した。性転換したメスと通常のオスの交配でオスのみが生まれる理論を初めて証明している。

グループは「オスをメス化して採卵することに成功したため、オスからのキャビア⽣産が可能となったが、さらに効率化するためには⽣まれながらに全個体がメスである全メス種苗を⽣産する必要がある」と紹介。「今後は、チョウザメの全メス種苗(養殖⽤稚⿂)⽣産の実現を目指す」と力を込めている。