北海道大学の川﨑教行准教授と馬上謙一助教らのグループは22日、米航空宇宙局(NASA)の小惑星探査機「オシリスレックス」が採取した小惑星ベヌーの詳細分析をした。調査では、太陽のような恒星を起源とする鉱物など多様な原材料から形成されたと認められたという。同日付の学術誌「ネイチャー・アストロノミー」にオンラインで掲載されている。
オシリスレックスは2023年にベヌーのサンプルを宇宙から持ち帰った。初期探査で地球に存在する中でも希少な「イヴナ型炭素質隕石」に類似しており、起源や原材料物質など詳細な分析が求められている。
グループは電子線を試料にあてる「走査電子顕微鏡」やイオンビームを照射する「同位体顕微鏡」を用いて原材料物質の起源を推定した。それによると、ベヌーには太陽のような恒星を起源とする鉱物や1000度以上で生成された鉱物、氷、有機物などのさまざまな物質からできていると確認された。
これはJAXAが小惑星「リュウグウ」から持ち帰ったサンプルと類似しており、太陽系の遠方領域で形成された可能性が示唆されるという。北海道大のグループは今後、ベヌーの構成物質の年代測定を行い、母天体の形成年代を明らかにしていく。