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ASD者、視覚段階で一般と「違いなし」 早稲田と福井大(第18857号)

早稲田大学と福井大学の研究グループは、成人の自閉スペクトラム症(ASD)者が他人の体をどのように認識しているかを明らかにする研究を行った。ASDと定型発達(TD)の人が視覚段階では大きな差はないと確認されている。ASD者の意思疎通の苦手さが視覚の初期処理に起因しないことを示唆する重要な知見だという。

ASD者はTD者と比べて、他者の顔や体から感情や意図を読み取ることが難しいとされている。身体に反応する脳領域の反応が弱いことが一因とされるが、視覚的に体の部位をどのように区別しているかは検証されてこなかった。

研究ではASDとTDの人に体の各部位の画像を提示。人の動きに反応する脳領域「外側後頭側頭皮質」(LOTC)を計測した。解析の結果、それぞれで顔と手足、胴体のグループに整理されていると確認された。ASD者が見て識別する段階の脳内処理では一般の人と大きな違いがないと認められている。

研究グループは「年齢の幅を広げた大規模な調査や長い期間を追いかける研究などを進めることで、成長の過程で身体の見え方や社会的困難さがどのように変化していくのかを詳しく検討していく必要がある」としている。