カシノナガキクイムシの穿入孔と排出される木くず(左) 園芸用キンチョールE®の使用例(右)
(国研)森林研究・整備機構森林総合研究所、大日本除虫菊株式会社(KINCHO)は、ナラ枯れの病原菌の運搬者である「カシノナガキクイムシ」が生きている樹の幹に穿入した場合に、市販ノズル型殺虫剤「園芸用キンチョールE®」を用いて駆除できることを明らかにし、殺虫剤として使用できるように適用拡大を行った。
ナラ枯れは、病原菌をもったカシノナガキクイムシが樹に穿入して繁殖することで、樹が枯れたり衰弱したりする病気。これまで様々な防除法が開発されてきたが、生きている樹に穿入したカシノナガキクイムシを駆除する方法はなかった。
森林総合研究所とKINCHOは共同研究で、カシノナガキクイムシの穿入から4週間目までに園芸用キンチョール®を用いて穿入孔へ殺虫剤を注入することで、幹内のカシノナガキクイムシを駆除できることを示した。
KINCHOでは、この研究成果をもとに、園芸用キンチョールE®をカシノナガキクイムシに対する殺虫剤として使用できるように適用拡大を申請。今年2月に承認され、初めて生きている樹の中のカシノナガキクイムシを直接駆除できるようになった。
園芸用キンチョールE®は、カシノナガキクイムシのほか、サクラ類を加害する外来種である「クビアカツヤカミキリ」にも使用可能。入手や使用方法も容易なため、今後、公園や緑地などでの市民活動による害虫防除が活発になることが期待される。