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防災科研が大型降雨実験施設の機能を強化~国内最大級の暴風雨環境を再現~(第18847号)

国立研究開発法人防災科学技術研究所は、自然の降雨状態を再現する装置としては世界最大級の大型降雨実験施設に、毎秒20メートルを上回る強風を人工的に発生させる機能を新たに追加した。従来のゲリラ豪雨の実験に加え、台風レベルの強風下での風雨の挙動や影響の再現が可能となり、現実に即し たさまざまな気象環境での実験が可能となる。

防災科研は、豪雨を原因とする自然災害の防止・軽減を目的として、1974年に大型降雨実験施設の運用を開始した。2013年度には、局地的に大雨をもたらすゲリラ豪雨に対する社会的な関心の高まりに対応するために、降雨強度を1時間に300ミリメートルまで再現できるように機能強化を図った。

ここ数年、災害・緊急時における自律制御ドローンや自動運転車の活用が期待されている。同実験施設でも、豪雨環境下でのドローン機体の制御実験や関連するさまざまなセンサー機器の性能実験が増加しており、利用者からは、雨だけではなく自然に近い雨と風の両方の環境条件でドローンやセンサーの試験を要望する声が高まっていた。

今回、大型降雨実験施設内に最大風速毎秒20メートルを上回る強風を人工的に発生させる強風装置を設置し、台風レベルの風と雨の環境を再現できる暴風雨環境の機能を追加。今後、この機能強化により、民間企業等と協働して従来の豪雨災害のための実験に加え、暴風雨環境下でも稼働が可能なドローンや自律走行が可能な車の実現などに寄与することが期待される。

大型降雨実験施設(左)と暴風装置(右)