NTTは18日、ドローンによる雷の誘導に世界で初めて成功したと発表した。今後はその成功率を高めるための発雷の位置予測技術を高めていく。街や人への雷被害の減少につながりそうだ。
気象会社「フランクリンジャパン」によると、1年あたりの落雷は2024年までの10年平均で約370万件。直接人体に雷が落ちればおよそ8割が亡くなるとされる中、対策となる避雷針の効果範囲は限定的だ。そのため、NTTはドローンによる誘雷を研究している。
NTTは24年12月から25年1月まで、島根県浜田市の標高900メートル地点でドローンによる雷の誘導実験を実施。雷雲が近づいた時に導電性のワイヤーをつなげたドローンを高度300メートルまで飛ばして、雷対策に利用できるかを調べた。
その結果、つなげていたワイヤーに雷による大電流が流れたことが認められ、2000ボルト以上の電圧が生じた。ドローン周囲で電気現象の基となる電界強度を変化させたことで雷が誘発された。また、耐雷ゲージを備えたドローンは、その後も安定して飛ぶことができた。
NTTは「雷を安全な場所に誘導することで、雷被害から守ることを目指している」とし、雷のエネルギーを蓄積して活用することを目指した研究開発に取り組む予定だ。