官庁通信デジタル

KANCHO TSUSHIN DIGITAL

官庁通信デジタル

BUNKYO DIGITAL
新種のイソギンチャク「ウフアガリアカサンゴスナギンチャク」発見 琉球大など

 ウフアガリアカサンゴスナギンチャク。発見地点の画像(a)、緑色に光る触手(b)、標本画像(c)、標本となった固体の触手(d)。英オープンアクセス誌「ロイヤル・ソサエティ・オープン・サイエンス」より

琉球大学のライマー・ジェイムズ・デイビス教授と東北大学、産業総合研究所などの研究チームは、新種のイソギンチャク「ウフアガリアカサンゴスナギンチャク」を発見したと発表した。深海洞窟内で、自ら発光する力があると確認されている。生物の発光現象が深海洞窟内で確認されたのは世界で初めて。

陸から海までさまざまな環境で発光能力を持つ生物がいる。サンゴでも、浅い海に生息する造礁サンゴなどが含まれる「花虫亜門」や深い海に暮らす宝石サンゴなどの「八放サンゴ網」などで確認されていたが、探索の難しさから深海洞窟で発光を確認したことはなかった。

研究チームは南大東島南北西沖(沖縄県)水深385mにある深海洞窟で、八放サンゴ網に付着するウフアガリアカサンゴスナギンチャクを発見。海底広域研究船「かいめい」の実験室内で、発光の有無を確認した。その結果、触手1本ずつが緑色に点滅していることが確認された。

ウフアガリアカサンゴスナギンチャクの学名は「Corallizoanthus aureus」。aureusはラテン語で黄金色を表し、同種の色が鮮やかな黄色であることから、この名前がつけられた。

光を放出する能力は発光分子「セレンテラジン」とホタルの発光にも関わる酵素「ルシフェラーゼ」によるものと推測されている。発光理由として、コミュニケーションや誘引、威嚇(いかく)、自己防御などが考えられるが未解明だ。

ライマー教授は「深海生態系の生物多様性の豊かさや未解明性を示すものであり、今後、発光の進化的起源や生態的役割を理解するための手がかりとなる」と評価している。