タジマミツバチの化石(提供:高橋唯教諭)
慶応義塾幼稚舎の高橋唯教諭と京都産業大学の高橋純一准教授は、兵庫県新温泉町でミツバチの化石を発見して新種であることを突き止めた。世界最古のミツバチの化石であり、最も新しく絶滅したミツバチになるという。進化史の空白をうめることとなり、日本の本州や九州などに生息する「ニホンミツバチ」の祖先にあたる可能性もある。
チームは化石が見つかった同町などがある県北部を指す地名である「但馬」(たじま)から、「タジマミツバチ」と名付けた。化石は全長1センチほどで、働きバチであったと報告している。
これまでミツバチの化石は3800万~500万年前と13万~1万年前のものしか見つかっていない。タジマはこの空白期間である鮮新世(せんしんせい)から更新世後期に、生きていたミツバチで初めて確認された化石となる。
現在、ミツバチはアジアに広く分布する「トウヨウミツバチ」やフィリピンなど限定されたエリアにのみ生息する「クロオビミツバチ」など9種が存在している。タジマはクロオビに近い形態をしていることから、クロオビに近い種が東アジアに分布していた証拠となりそうだ。
高橋教諭は「昆虫の化石はそもそも植物や貝類などと比べると極めて少なく、その上でミツバチとなると大変希少」と紹介。「今回のタジマミツバチの化石は現在と古い時代をつなぐような化石で、発見の意義は大きいと思う」と説明している。