筑波大学
筑波大学の⼩﨑恵⽣らの研究グループは、大学野球をする投手の利き腕の上腕動脈が血管内皮機能が低い傾向にあると発表した。野球の投手と野手で異なる動脈適応が生じている可能性を示しているという。効果的トレーニング戦略の立案やスポーツ障害の予防に貢献することが期待されている。
アスリートは競技の特性により動脈の構造や機能で、違いが生じると知られている。このような動脈は「アスリート動脈」と呼ばれる。肘を肩よりも高く上げる運動では、十分にアスリート動脈の調査が進んでいなかった。研究ではアスリート動脈の特徴を知る指標とされる「血管内皮機能」を調べた。
研究では、大学の硬式野球部に所属する男性投手23人と野手67人を対象に、血管内皮機能の機能を反映する代表的な指標である「血流依存性血管拡張反応」(FMD)を測定した。
その結果、投手の利き腕のFMD値は野手よりも低い値を示し、投手であることが低下と関連している傾向が確認された。一方で、肩関節を外側にねじる可動域と内側にねじる筋力では、筋力と可動範囲が大きいほどFMD値が小さいことが認められている。
グループは「野球選⼿における機能的な動脈適応の特徴を理解することは、個々の選⼿の ニーズに合わせたトレーニング戦略の⽴案や、繰り返しの投球動作により引き起こされる内科的なスポーツ障害を予防するための対策の確⽴に貢献すると期待される」としている。