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南海トラフ地震対策に貢献 DONET誤差除去装置開発 紀伊半島沖で沈降確認 JAMSTEC

JAMSTECの町田副主任研究員

海洋研究開発機構(JAMSTEC)の町田祐弥副主任研究員らのグループは18日、プレート収束に伴う海底の沈降を長期的な観測で初めて成功したと発表した。南海トラフ地震の発生メカニズムの理解を深める証拠を確認することで、今後の防災対策に役立つと期待されている。

JAMSTECは南海トラフ地震発生時に津波の早期検知を目的に、海底水圧計(DONET)を設置している。プレートの沈み込みによる地殻変動の観測が期待されているが、時間の経過とともに正確な値がズレる「センサドリフト」と呼ばれる課題があった。

そこで、グループは移動式のDONET水圧計校正装置を開発。誤差が起きる原因である温度と圧力、姿勢を修正することでドリフトを除去した。その結果、2018~24年にかけて紀伊半島沖の二つの地点で沈降が見られた。南海地震(年2.5センチ)と東南海地震(同1.5センチ)の震源域で認められている。

JAMSTECの町田副主任研究員は「津波監視として使われていたDONETの水圧計で、海底の微小な地殻変動のモニタリングできることが確認できたことは非常に大きな意義がある」と評価。「将来的にはリアルタイムな地殻変動マップを作って津波リスクの評価に直結する知見の蓄積につなげていきたい」とコメントしている。

研究成果は同日付の米学術誌「ジオフィジカル・リサーチ・レターズ」に掲載されている。