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においの「快」と「不快」を計算する細胞発見 細胞集団が符号化 理研

オンライン会見で発表する風間ディレクター

理化学研究所の風間北斗チームディラクターらの研究グループは18日、匂いの価値を検討する脳内の細胞を確認し、回路メカニズムによって生み出されることを発見している。脳をデジタル空間上に表現する試みに貢献できそうだ。研究成果は米科学雑誌「セル」に同日付で掲載されている。

グループはショウジョウバエを用いて研究を実施。快と不快の価値があるにおいに対する応答を、におい情報を処理する「側角細胞」を計測して調べた。その結果、二つの神経細胞集団が特定のにおいの価値を符号化しており、一つは良い、もう一つは悪いにおいに反応していると分かった。

また、応答の神経回路メカニズムを解析したところ、におい情報を神経細胞からはじめに受け取る部位である一次嗅覚中枢で側角細胞との選択的な結合が起きていた。それを調べると、快いにおいの情報が神経系の興奮を調整する抑制性回路に処理されることで初めて生成されると示唆された。

検証したところ、ショウジョウバエの側角がにおいの価値を計算する中枢でありにおいの良し悪しの情報が異なる神経回路構造で生成されることが認められた。

風間ディレクターは「においの価値を計算した後、どのような計算をすると行動につながっていくのかの理解にチャレンジしたい」と意気込みを述べた。プロジェクト開始時には研究に用いた道具の一部が存在しなかったことを紹介し、「世の中の多くの研究者の力が合わさり成果につながっている」とした。