東京科学大学
東京科学大学と国立国際医療研究所のグループは28日、新たな新型コロナウイルス感染症(COVID―19)の阻害薬「TKB272」を開発したと発表した。2022年に特例承認された米ファイザー製の「パキロビッド」よりも100倍の活性を示し、パキロビッド体制株にも有効であるという。27日付の国際学術誌「ACS Omega」に掲載されている。
現在、新型コロナ阻害薬はウイルスの複製に必要な酵素を阻害するRNAポリメラーゼ阻害薬である「レムデシビル」や「ラゲブリオ」(モルヌピラビル)、構成たんぱく質を切断するメインプロテアーゼ阻害薬の「ゾゴーバ」などが開発されて使用されている。
研究グループはメインプロテアーゼに着目して薬の作成に取り組んだ。かつてグループが報告した阻害剤「TKB245」から誘導されたTKB272の研究を行った。その結果、TKB272がパキロビットよりも約100倍大きな抗ウイルス活性があると明らかにした。祖先株やパキロビット耐性株にも有効であるという。
グループは「TKB272は、パキロビットと⽐較して複数の利点を有しており、COVID-19に対する治療薬候補であると同時に、将来いつ出現するか予測できない新たなコロナウイルスに備える阻害剤としての備蓄にも有望であると期待される」とコメントしている。