広島大学のタナッチャポーン・カムランシー准教授らのグループは、腸内細菌を活性化する「プレバイオティクス」を摂取することで脳内にGABAを生み出して、脳内で増加させることを明らかにしている。含まれる食品を口にすることで、症状を抑制できる可能性がある。
GABAの減少はてんかんやうつ病、アルツハイマー病などとの関連があるとされるが、GABAは血液と脳の間にある「血液脳関門」(BBB)を通過できないと考えられており、体の外から摂ったGABAが脳に与える役割は注目されてこなかった。だが、近年、腸由来の「末梢性GABA」が腸と脳をつなぐカギとして関心が高まっている。
グループはゴボウに含まれるフラクトオリゴ糖(FOS)などのプレバイオティクスと発酵食品に含まれる菌由来酵素を含有したエサをマウスに4週間投与した。
腸と脳のGABA濃度を測定した結果、摂取したマウスは濃度が上昇していた。また、GABA産生菌「パラバクテロイデス」と「アッカーマンシア」を増やし、GABAの誕生を促進していると確認された。
FOSを含むキクイモやゴボウ、ニンニク、玉ねぎや麹菌由来酵素が含まれる味噌、甘酒などを食べることによってGABA濃度を増加させられる可能性が示唆されている。
グループは「究で用いたプレバイオティクス食品が、てんかんやうつ病などのGABA関連脳疾患の予防・改善に応用できるかどうかを検討することが今後の目標」としている。