東京科学大学
東京科学大学の河原智樹助教と藤原武男教授らの研究グループは今年7月、ストレスなどが原因である「2型糖尿病」の遺伝的リスクが高い人ほどフルーツジュースを飲むことで危険を減らせると発表した。リスクを下げるために糖分が多い果汁の取り込みを控えるべきという主張を、見直すための科学的根拠になると紹介している。
2型糖尿病は食生活の悪化や運動不足が原因で発症し、多尿や疲労などの症状がでる。視力や腎機能の低下につながる合併症が現れる危険度も高まるとされ、成人が発病することがほとんど。1型は血糖値を下げる「インスリン」が体内で作られにくくなるが、2型は不十分なものの分泌される。
研究では、約1万4000人分のデータを分析。個人が持つ遺伝的リスクを定量化できる「ポリジェニックリスクスコア」を算出した。果汁の摂取頻度と2型糖尿病の有病率の関係を調査した。
その結果、遺伝的リスクが高い上位2割の集団に関して、果汁の摂取量が多いほど糖尿病になりにくいという反応が観察された。果汁を1日に1~2杯飲む人のリスクが最も低く、週1回以上飲む人、週1回未満しか飲まない人の順に低かった。一方で、遺伝的リスクが中程度または低い集団では、果汁と糖尿病に関連は認められなかったという。
グループは遺伝的リスクが高い層には、「適量の加重摂取が予防的に働く可能性を示しており、画一的な制限を見直すための科学的根拠となる」と説明。今後について、「果汁の摂取が将来の糖尿病発症を実際に減らすかどうかを検証する」としている。