東京大学
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の成田瑞室長、東京都医学総合研究所の西田淳志・社会健康医学研究センター長、東京大学の笠井清登教授らの研究グループは、思春期にオンラインゲームを不適切に利用すると、抑うつや不安、精神症などのメンタルヘルス不調につながることを確認した。
オンラインゲームの不適切利用とは、ゲームを中断するとイライラする、プレイ時間を減らせない、学業や人間関係に支障をきたすなどの状態を指す。因果関係を推定できるデータ解析を行い、思春期にオンラインゲームを利用するとメンタル不調が高まるかを調べた。
グループは2002~04年に生まれた思春期児童約3000人を対象に、12、14、16歳の時点で調査。14歳での不適切利用と16歳時点でのメンタル不調の関連、12歳時点での注意欠如・多動と14歳での不適切利用、14歳での不適切利用が、12歳での注意欠如・多動と16歳時点のメンタル不調との関連があるかを分析した。
その結果、オンラインゲームを不適切利用していた人が2年後に抑うつ(1.62倍)、不安(1.98倍)、精神症(1.72倍)、幸福度低下(1.54倍)に増加させることが示された。さらに、注意欠如・多動とメンタルヘルス不調の関連のうち、12.3%~29.2%はオンラインゲームの不適切利用によって媒介されていた。
グループは「日本の若者はプレイ人口が多いため、本研究で示されたようなメンタルヘルス不調のリスクを認識しておく必要がある」と指摘。「オンラインゲームの 不適切利用を控えることでメンタルヘルスの安定につながる可能性も示唆される」と評価した。