東京大学
東京大学とトロント大学、国立天文台などの研究グループは、ビッグバンから約9億年後に存在したコンパクトな集団で構成された銀河「宇宙ぶどう」を発見した。これまで、宇宙初期の銀河が粒粒とした構造を持つことは予期されていなかったという。
グループは、2021年に打ち上げられた「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」と国立天文台がチリに設置している「アルマ望遠鏡」を用いて100時間以上の観測を行った。その結果、一つの銀河に巨大なガスで作られる恒星がぶどうの房のように集まり、ガスが回転運動と分裂した15個以上の恒星から成る内部構造が若い銀河で共存することを示される初のケースを確認した。
現存する宇宙初期のシミュレーションでは、中心を軸に銀河が回転する「回転銀河」がこのような多数の星団構造を持つことを再現できていない。この発見は、超新星爆発やブラックホールからのエネルギーが想定よりも弱い可能性が示唆する。が銀河がどのように形成され、進化したのかという謎を、浮かび上がらせているという。
グループは「対象となった銀河は、大きさや重さなどあらゆる観点で、特異的ではなく、この時代の一般的な銀河であることが観測されており、同様の構造がほかの多くの銀河にも隠されている」と紹介。「今回の結果は宇宙初期における銀河形成の理解を大きく見直す契機となる可能性がある」としている。