ビワマスのホロタイプ標本(提供:藤岡康弘氏)
琵琶湖博物館と京都大学、摂南大学の研究グループは、琵琶湖固有種の「ビワマス」に新たな学名として「オンコリンカス・ビワエンシス」と名付けたと発表した。世界共通の学名がついたことで新種と認定された。固有種として認識されることで、産卵場所の消失や近縁種との交雑の減少につなげられる可能性がある。
ビワマスは琵琶湖のみに生息するサケの仲間。成魚の大きさは40~50センチほどになり、中禅寺湖(栃木県)や芦ノ湖(神奈川県)、木崎湖(長野県)にも移植されており、生まれた川を遡上し産卵を行う。1990年にビワマスと見なされていた「オンコリンカス・ロヅラス」が異なる種と指摘されてからはビワマスに学名がない状態が続いていた。
研究ではヤマメ(サクラマス)とアマゴ(サツキマス)、新たなビワマスの標本を入手。形態分析を行ったところ、ビワマスはサクラマス種群の近縁種とはビワマスは消化器官の数や目の大きさ、ウロコの数が異なることが明確に示されたため新たな学名が与えられることになった。
琵琶湖博物館の上坂恭平主査は「学名が付き、国際的な場面でも種として認識されるようになり、今後この魚の保全がより一層進むことを期待しています」とコメントしている。