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女子の保護者、進学先に性別意識 早大

早稲田大学

早稲田大学の尾野嘉邦(おの・よしくに)教授らの研究グループは、高校生の大学選びに対する親の意識を分析した。女子が進学する大学の学部には、両親の意向が反映されやすいことが分かっている。一部の大学に導入されている「女子枠」や進路指導で保護者の認識に働きかける重要性を示している。

グループは2023年2月から3月にかけて、全国の成人男女3000人を対象にオンライン調査を実施。架空の高校生の親として、受験を進めるかどうかを評価する調査実験を行った。

それによると、子どもが女である場合に、女子比率が高い大学の受験を勧める傾向が確認された。さらに、文学部など「女子向き」のイメージがある学部を本人が希望している場合には、親は受験を勧める傾向が認められた。一方で、女子が「男子向き」と想像される理系学部を志望している際には、勧めないことが確認された。

大学進学の便益を男女別に予想してもらうと、男子の大学進学に高い価値を感じている人ほど女子の難関大受験を促さないことが分かった。性別への役割意識が強い親ほど、難しい大学を勧めない傾向にあることも判明している。

グループは難関大への女子の進学が本人の学力や希望のみでなく、保護者にも左右される可能性を実証した点に注目。工学部は男性が多いなど特定の学部に性別が偏る進学格差を是正するためには、価値観や認知の偏りにも目を向けるべきとした。