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ADHDの治療にオンライン認知行動療法が有効 専門家不足の改善策 千葉大

千葉大学

千葉大学の清水栄司教授と江藤愛子研究員らのグループは、注意欠如多動症(ADHD)を持つ成人にオンライン療法が有効であることを世界で初めて明らかにした。仕事や家庭の事情などで、都合がつかない人も自宅で認知行動療法に取り組みやすくなると期待されている。

ADHDは不注意、多動性、衝動性といった特性がある発達障害。成人では30人に1人が該当するとされている。仕事や人間関係、日常生活に困難を感じる人もおり、うつや不安症、依存症を合併している患者が多い。薬物とストレスに対処する「認知行動療法」があるが、後者は専門家の少数であることから受診しづらいという課題がある。

ADHDと診断されて薬物治療を受けても症状が残る成人30人を対象に研究を実施。通常診療のみの「対照群」とオンラインを用いて認知行動療法を受ける「介入群」に分け、週1回50分インターネットによる認知行動療法を実践した。

その結果、評価指標による介入群の症状スコアは9点程度改善。一方で、対照群に明らかな変化は見られなかったという。

グループは「病院に来院することなくオンラインで認知行動療法の受療が可能になれば、患者さんの時間的、経済的および身体的負担が軽減できる可能性がある」と紹介。「ADHDに対するオンライン療法の有効性を示せたことは重要で、薬物療法にオンラインを加えた治療を新たな選択肢に考えてもらえるようになることを願う」としている。