筑波大学
筑波大学の中山雅雄教授は、サッカーが得意な人はボールを止める「トラップ」の際に、方向転換を予測した体の動きをすることで素早く次の行動に移っていると明らかにした。トラップをボールをただ止める動作でなく、次の攻撃につなげる動きとして活用できていたという。
研究では、全国大会に出場経験がある大学サッカー選手10名(上級者)と、出場経験のない8名(中級者)から協力を得た。被験者が5メートル走った後にパスされたボールを受け取り、トラップと180度方向転換をした後、再度パスを出す動作を比較・分析している。
その結果、上級者はパスまでの所要時間が0.98秒、中級者の1.22秒と比べて短かった。足とボールの接触点は、ボール中心より垂直に0.071メートル上、前後方向では0.007メートルと中心に近い位置に集中していた。
また、サッカーボールの衝撃を吸収する足首を小指側へ傾けてボールコントロールにつなげる「足間接の外反角速度」が上級者は中級者よりも速く、効率的にインパクトを受け止めていると示唆された。骨盤角度も中級者よりも小さく、ボール進行方向と平行に近い姿勢がとられていた。
ボールを触っていない足である支持脚は、上級者は中級者よりも近接かつ斜め後方に位置していた。安定した重心移動と方向転換に貢献していると推測されている。
中山教授は「トラップ時の動作特性を生かしたトレーニングメニューの開発を進める」と紹介。技術の改善に向けた指導アプローチの構築や身体特性に応じたトレーニング計画の最適化にも取り組む」と力を込めている。