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長岡准教授「月は天然の記録メディア」 「月の露頭のサンプル採取を目指す」 ESECセミナー

立命館大学の長岡央准教授

立命館大学の宇宙地球探査研究センター(ESEC)の長岡央准教授は25日、月面探査をテーマとしたセミナー「月面での『その場探査』・サンプル採取技術開発への挑戦」をオンラインで開いた。長岡准教授は「地球型惑星の始原的情報を月から持ち帰ることが、私のモチベーションとなっている」と熱く語った。

長岡准教授らの研究チームはESECで、月のサンプル採取を行うために月探査機・着陸機に搭載する放射線と可視近赤外光をその場計測する分光装置などの技術開発を進めています。

セミナーでは地球には存在しない45億年前の石が月にあると紹介。惑星の形成初期の情報を復元できる可能性があると説明した。そして、月が情報を保存した「天然の記録メディア」であると伝えている。

長岡准教授は月から飛んでくる月隕石の研究について報告した。その中で、隕石の中に水が存在しないとできない鉱物層が確認されたと話している。そして、月隕石がどこから飛んできたかを確認した後に、月のサンプルを採取する手法を開発できたとした。

「研究の中で、年代が若いサンプルは残りやすいと気付いた」とコメント。月面に隕石衝突が増えたとされる「後期重爆撃期」(39億年前後)よりも前の石は、大規模な隕石の落下によってサンプルとして不安定であると指摘した。

長岡准教授は「始原的な地殻が残る月の露頭でサンプルを採取したい」と力を込め、「欲しいサンプルをその場で分析できるシステムの開発を今まさに進めているところだ」と述べている。

立命館大は月の探査や探査拠点の建設を目指す宇宙地球探査研究センター(ESEC)を2023年に設立した。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が公募する「宇宙戦略基金事業」に今年1月に採択され、月のその場探査を実現するための調査技術を開発している。