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精神不調での仕事、7.6兆円の損失に 不調による休みで3000億円の損失 横浜市立大

横浜市立大学の原広司准教授と産業医科大学の永田智久准教授は、働く人が「気分が沈む」「眠れない」といった心身の不調を抱えながら仕事を続けることで、日本全体で7.6兆円の損失が生じていると明らかにした。国内総生産(GDP)の1%、65歳未満で精神疾患を患う人が払う医療費の7倍以上の金額であると分かっている。

出勤はしているものの心身の不調からパフォーマンスが発揮できない「プレゼンティーズム」は、欠勤よりも企業に損失をもたらすと指摘されている。だが、こうした隠れた損失は医療費などと異なり可視化がされにくく、政策や職場で十分に対策されていない。グループはプレゼンティーズムを初めて包括的に明示することを目的に調べた。

研究では全国の労働者約3万人を対象にインターネットで調査を2022年に実施。「気分が沈む」や「眠れない」などの精神の不調による仕事への悪影響と過去1年間の病気による欠勤日数を収集した。

その結果、プレゼンティーリズムによる損失額は7.3兆円であり、心身の不調による従業員の休み・休業を示す「アブセンティーズム」による損害は3000億円に上った。日本の国内総生産の1.1%に相当すると確認されている。

グループは「この成果は、メンタルヘルス対策が単なる個人支援や医療の問題ではなく経済政策や労働施策における重要な課題であることを強く示唆している」と評価。「メンタル不調を早期に発見する取り組みや、不調を改善するための支援策に対する科学的な有効性検証が求められる」としている。