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南海トラフ地震による災害廃棄物、三重県で少なくとも約7万トン 早稲田大×東北大

早稲田大学の大隈講堂

早稲田大学と東北大学の研究グループは、地震と津波が同時に起きた際の災害廃棄物量を算定した。南海トラフ地震の発生を想定すると、三重県では約7万トン以上の廃棄物量が想定されると発表している。今後は計算機上に留まらず、実社会での応用に向けて研究を重ねていきたい考えだ。

東日本大震災では約2300万トンの廃棄物が発生したとされ、その対応が復興の妨げとなっていた。だが、地震と津波のマルチハザードで発生する廃品に焦点をあてた研究は限られており、処理に必要な時間を評価するための手法は確立されていなかった。

グループは廃棄物処理システムや道路ネットワーク、災害強度などを統合して、災害を考慮した信頼性の高い予測を可能とした。

研究では、南海トラフ地震を想定。三重県東紀州地域の廃棄物処理システムと道路ネットワークを基に検討した。その結果、対象地域では7~28万トンのゴミの発生が予想され、その処理には1.6年が必要であると推測された。また、橋の耐震性を高くして車両が通行しやすい道を作るほど対策効果が高いと分かっている。

グループは「研究の高度化には、地震断層モデルの設定や災害廃棄物処理に関するパラメータの定量化が不可欠だ」と評価。「地域のハザード状況などを勘案しながら、取り組む対策の意思決定を助けるツールとなる」と紹介している。