東京科学大学
東京科学大学の寺田周平助教と藤原武男教授らのグループは、湿度や日射などから決まる暑さ指数が高い日の翌日に妊婦の「常位胎盤早期剥離」の危険性が高まると明らかにした。猛暑日の直後には妊婦に注意を促す必要性があるとしている。
常位胎盤早期剥離は胎盤が子宮から離れ、大量出血を引き起こす疾患。妊婦と子どもの生命に関わり、脳性まひを起こした赤ちゃんの最多の原因でもあるとされる。研究グループは2011年から9年間にわたり、同症例と暑さ指数のデータを用いた解析を行った。1を超えると正の相関があるリスク比を用いて分析している。
その結果、症状と暑さ指数の関連を表すリスク比は、指数の上位95%を超える「非常に暑い日」の次の日に1.2となり関連性が示された。また、妊娠高血圧症候群の妊婦は1.57、胎児の発育が不良な場合に1.47とより高くなっていたという。
グループは暑い日の直後には出血や腹痛などの初期症状に注意を払うことが大切だと指摘。「気候変動の影響が避けられない中で、妊婦が安心して暮らせる環境を実現するためのデビデンスを蓄積していきたい」と力を込めている。