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猫の毛をオレンジ色にする遺伝子を世界初発見 塩基消失個体と完全一致 九大

三毛猫(提供:研究チーム)

九州大学の佐々木裕之・特別主幹教授らの研究グループは16日、オレンジ色の毛を持つ三毛猫などの毛をオレンジ色にする遺伝子「ARHGAP36」の発見を発表した。三毛猫やサビ猫の毛色を決める仕組みを支持する証拠を世界で初めて示している。

猫のオレンジや黒の毛色を決めるX染色体の遺伝子は「オレンジ遺伝子」と名付けられている。だが、実態は謎のままであり、猫好きの研究者11人が集まり調査した。

ARHGAP36はマウスや人にも存在する遺伝子。適切な細胞活動につなげる分子であり、脳の萎縮や皮膚がんなどの原因遺伝子としても知られている。しかし、色との関係性はこれまで発見されていなかった。

研究グループは多様な毛色を持つ18匹の猫からDNAを収集して、全遺伝情報(ゲノム配列)を確認した。オレンジ毛を持つ猫10個体の染色体には、ARHGAP36遺伝子内に約5000塩基の欠失があることが判明。塩基消失の有無とオレンジ色の毛が完全に一致していたという。

佐々木裕之特別主幹教授

佐々木教授は「三毛猫の毛の色の模様がどのように決まるのかは、謎のままであると20年前に気付いた」と紹介。「分からないまま放置してはいけないという思いから、今回の研究開始に至った」と説明した。世界中のオレンジ毛を持つ猫の多くが同じ欠失を持つことから、この変異の歴史的な起源が注目されるとしている。