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クマが道路を危険と認識? 恩恵を求めて横断 東京農工大

東京農工大学

東京農工大学の小池伸介教授らの研究グループは、日本に生息するツキノワグマの移動経路を分析した。その結果、クマが道路を危険と判断している可能性がある一方で、リターンを求めて横断していると明らかにしている。

道路の横断は、野生生物にとって車とぶつかり死に直結する大きなリスクだ。だが、食物や繁殖相手を獲得するためには渡る必要がある。クマは春から夏が繁殖期、秋が過食期と季節によって行動が変化する。道路がどのような影響を与えているかを知ることは、個体群の管理や被害対策、生息保全のための重要な知見となる。

グループは2車線以上ある「主要道路」と1車線以上の地域住民が使用する「生活道路」、通行を制限する「ゲート付き道路」の3道路を観察。それぞれで横断を避ける傾向があるものの、渡っているクマも存在すると明らかにした。夏はオスが多く横切り、メスは秋に通過する機会が増えていたという。

タイミングを踏まえればオスは繁殖相手を求め、メスは大量の食物を獲得するために道路を渡っていることを示唆している。時間帯は夜が多く、ゲート付き道路、生活道路、主要道路の順に沢山通過していた。

小池教授は「今回の結果のように基本的にクマは人間に対して高い警戒心を持っている」と紹介。「緩衝帯となりうる場所では林業活動などの人間活動を活発に行うことで、人とクマの距離を取ることができる可能性がある」と話している。