マイマイツツハナバチ(提供:香取郁夫准教授)
近畿大学の香取郁夫准教授らの研究グループは16日、カタツムリなどの巻貝の殻に巣を作る「マイマイツツハナバチ」の巣作りを調べた。研究成果から農業現場で授粉を促すポリネーターとしての役割が期待できるとしている。
マイマイツツハナバチは大きさが1センチ程度のミツバチの仲間。日本には北海道から九州まで分布。殻の中に部屋を作り、その中で幼虫を育てるハチだ。日本にはポリネーターの役割を果たす「セイヨウミツバチ」がいるが、特定の植物を避ける傾向があり、授粉効率も低いとされている。ハナバチの活用が期待され、研究が進められている。
グループはマイマイツツハナバチがハウス栽培のイチゴのポリネーターとして利用できるかを検証。「クチベニマイマイ」「ニッポンマイマイ」「ヒメタニシ」「エスカルゴ」の貝殻を草地や建物周辺、林、土がむき出しの土地などに設置して、どのような空き殻と場所で営巣するのかを調べた。
その結果、クチベニマイマイを使用する確率が高く、エスカルゴを用いた個体はいなかった。また、草地を好み、土の上や林は好まないことが明らかになっている。送粉効率をセイヨウミツバチと比較すると、同等かそれ以上であると分かった。
さらに、3Dプリンターで作ったプラスチック製のクチベニマイマイの殻をマイマイツツハナバチが活用するのかを分析。「ナイロン」「アクリル」「ポリプロピレン」による営巣率は80%程度で、本物と変わらない割合を示している。
⾹取准教授は「セイヨウミツバチは⽇本を含む多くの国々では外来種であり、在来種-外来種問題は避けて通れない」と指摘。「今後、ハウス栽培イチゴの送粉と果実⽣産にどの程度の個体が必要かなどを解明することで本種のポリネーターとしての実⽤化がより鮮明に⾒えてくる」とコメントした。