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世界初 嗅覚VRで認知機能改善 東京科学大

東京科学大学と文教学院大学、ロンドン藝術大学などの研究グループは先月、嗅覚VR(仮想現実)を用いた高齢者に認知機能改善法を世界で初めて発見した。今後、認知症対策の手法として香りコンテンツの活用が期待されている。

厚生労働省の調査によると2022年度の認知症の高齢者は443.2万人。今年度には471.6万人に増えると推計されている。年齢とともに衰える認知機能の維持は大きな課題だ。嗅覚刺激が認知機能改善に効果があるとされているが、映像に合わせて香りを嗅ぐ方法による効果は明確ではなかった。

実験では60~90代の30人が嗅覚VRゲームを体験。ゲームでは3種類の雲にプレーヤーが近づくと香りが発生。それを記憶して、その後に同じにおいの雲を選択するというもの。2回に分けてゲームを行った後、多様な認知テストを実施した。

すると、ひらがなが元の文字と同じか判別する実験と単語を再配置するテストで嗅覚ゲーム体験後のスコアが向上することが確認された。視覚情報を処理する機能が改善されたことで、関連する認知機能が向上したと分析している。

グループは「嗅覚VRはエンターテイメント分野に応用されてきたが、高齢者リハビリテーションという新たな応用分野を開くことで社会課題の解決にも貢献できる」と評価している。